TFSアカデミー「越境ビジネスのススメ ~シンガポールより~」
Update: 2026.06.09
5月26日、TFSアカデミーにて、弊社代表の安田が講演「越境ビジネスのススメ ~シンガポールより~」を行いました。
今年2026年は、日本・シンガポール外交関係樹立60周年という節目の年でもあります。講演では、シンガポールを拠点に日本企業の海外展開支援を行ってきて、シンガポールを中心としたアジアにおけるビジネスの現場感覚や、日本企業が海外市場で持つ可能性について、具体例を交えながら語りました。
本セミナーでは、同氏は海外進出ではなく、越境という言葉を使いました。単に日本の商品を輸出するに留まらず、文化・価値観・人間関係・ルールの違いを越えていく営みとして、海外事業を捉えていることを伝えました。
「日本ファンを世界中に増やす」という視点
冒頭に、安田は「日本ファンを世界中に増やす」が使命であると明言し、その流れで、次のような、日本人の価値観や文化について質問されることの多さを紹介しました。
「なぜ時間を守るのか」「なぜ品質にこだわるのか」「なぜ改善を続けるのか」——こうした問いに対し、自分の言葉で説明できることが、信頼関係構築の第一歩になるといいます。
聴講した方にとって印象的だったのは、日本人の「お天道様が見ている」という感覚への言及でした。誰かに監視されているからではなく、自らを律する倫理観。この感覚は海外では高く評価されているとのことでした。
海外事業成功の5つのポイント
講演では、海外事業を成功させるためのポイントとして、
- 自国理解
- 土俵(ルール)
- 言語
- 異文化理解
- 人材
の5点を整理しました。
特に聴講した方にとっては②「土俵」については、その「ギャップ」への理解の大切さの説明が印象的でした。つまり、海外では日本の常識が通用しません。契約、価格交渉、納期感覚、休暇、コミュニケーション方法など、前提条件が大きく異なります。
あわせて、③言語(英語)についても、「完璧である必要はない」と語りました。
むしろ重要なのは、④「仲良くなること」です。単語を並べてもよいので、まずは人間関係を築くことが重要であり、本格的な契約交渉は専門家を活用すればよい、という実務的な話でした。
日本企業の強みと弱み
安田は、日本企業の強みとして、「技術力」「品質管理」「改善力(KAIZEN)」「倫理観」を紹介しました。特に、「KAIZEN」や「IKIGAI」は、すでに海外では共通語になっているとのことです。日本人には馴染みのある考え方が、海外では新鮮な価値として受け止められている点は、もっと多くありそうです。
一方、日本企業の最大の弱点として挙げられていたのが「プレゼン力」です。世界水準の商品や技術を持ちながら、それを十分に伝え切れていない企業が多くあるのが現状であり、安田の支援の出番ともなっています。
展示会は「準備」が9割
海外販路開拓についても、示唆に富む具体的な話がありました。特に印象的だったのは、「展示会は準備が9割」という考え方に基づく取り組みの流れです。
多くの企業は、海外展示会への出展自体が目的化してしまい、成果につながらないとのことでした。本来重要なのは、市場調査、競合調査、商標確認、営業資料のローカライズ、現地パートナー探し、導入実績づくり、など、事前準備の部分です。展示会出展前に、「現地で一件でも導入実績を作ること」が重要です。
イライラが募る海外ビジネス、寛容さも重要
安田は、海外事業では、日本の感覚で相手を評価しないことも重要だと語りました。例えば、返信が遅い、休暇中は連絡が取れない、時間感覚が違う、最初から極端な条件を提示してくる等、こうしたことは海外では珍しくないとのことです。
また、価格交渉では「ハイボール」交渉という言葉も紹介しました。最初に高い要求を出し、そこから落としどころを探る。たとえ仲良くなったと思っていても、高い要求は必ず来ると心得ておいた方がよいです。これは失礼ではなく、交渉文化の一部なのだということを知っておくとだいぶ違うのでしょう。そのため、見積もりも最初から「値引きされる前提」で設計する必要があるという実務的なアドバイスも納得でした。
人口減少時代の「越境」
後半では、安田は、日本の内需を踏まえた売上増加策についての考えを述べました。売上増の手段としてはオーソドックスに国内販路開拓と海外販路開拓とがあるわけですが、人口減少社会の中で、日本国内だけを前提とした成長戦略には限界があるとのことです。
勿論、すべての企業が海外展開をする必要はなく、国内の生産者が持ち場を守ることにも敬意を示されつつ、「役割分担」という考えも披露しました。
それは、そうとしても、
- アジア中間層の拡大
- インバウンド増加
- 物流インフラの進化
- デジタル化
などを考えると、越境は一部企業だけの話ではなくなりつつあります。多くの外国人が日本を訪れている現状にあたって、日本国内で「テストマーケティング」ができる環境にもなっているという、指摘にも目から鱗です。
おわりに
今回の講演の芯となる部分は、日本人として自分たちは何者なのか、外国の方々の価値観を理解できるか、という問いにありました。海外へ出たことで、逆に日本の素晴らしさを感じとり、冒頭のミッションにまで押し上げた安田。改善、責任感、品質、倫理観——これらが世界を見渡すと多大なる競争力になっています。それを伝える力や見せる力は、まだ伸びしろがあることを楽しく、エネルギー高く伝えました。
なお、講演内でも触れていましたが、2026年11月26日(木)~29日(日)にかけて、安田が現地アテンドを行うビジネス視察ツアーが企画進行中です。一般の視察旅行では組みにくい在シンガポール大使館訪問や企業・PSA(港湾関連)視察、記念イベント参加、ジョホールバル経済特区視察(調整中)など、越境ビジネスの実務感覚に触れられる内容で企画調整が進行中です。新たな市場や機会を模索する企業経営者にとっては、非常に貴重な機会になります。
海外展開は一朝一夕では成果が出ません。人口減少時代において、越境は今後ますます現実的な経営テーマになっていくことは間違いありません。
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内需だけに頼ると生き残れない日本。
この課題を痛感しているからこそ、弊社は着実なサポート、講演を提供しております。
越境ビジネスに挑むあなたの力になれると幸いです。
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