東南アジア進出を目指す企業へ:ライブストリーミング販売入門
Update: 2025.12.22
日本では、ライブストリーミング販売はまだ一般的ではありません。これは日本の消費者の特性が関係していると考えられます。
日本の消費者は、商品の詳細をしっかり理解してから購入する傾向があり、質の高い商品を選ぶために時間をかけます。そのため、東南アジアで人気のライブストリーミング販売にはなじみにくい面があるかもしれません。ShopeeやTikTok Shopで配信者がテンポよく商品を紹介するスタイルは、日本人には「早すぎて情報が追いつかない」と感じられることもあるでしょう。
しかし、海外進出を検討している企業にとっては、ライブストリーミングは成功への有効な手段となる可能性があります。
通信販売にエンタメ要素を加える
まず、TikTok Shopの事例を見ていきましょう。ある女性配信者はカメラに向かって視聴者と会話しながらカバンの革の質感を丁寧に見せ、また別の男性配信者はドリアンを切りながら視聴者のコメントに答え、人生相談にまで乗っています。
これは視聴者にとって、ただの買い物ではなく「エンターテインメント」になっているのです。
東南アジアでは、カメラの前で商品の特徴を説明するだけでは視聴者の関心を引くことができません。商品以外の付加価値、つまりエンタメ要素を加えることで、「商品そのもの」だけでなく「買い物体験」が視聴者の記憶に残ります。そしてこの印象的な体験が、リピート購入につながるのです。
実際、東南アジアの成功しているライブコマースでは、配信者と視聴者の間にコミュニティが形成されています。視聴者は商品を買うためだけでなく、その配信者に会いに来る感覚で参加しているケースも少なくありません。これは従来の通信販売では考えられなかった現象です。
「やってみたいけど、どうやればいいかわからない」というお悩みを抱えている企業様もいらっしゃるかもしれません。今回は、日本ブランドが注意すべきポイントをご紹介します。
まずは視聴者としてライブストリーミング販売に参加してみる
ライブストリーミング販売を見たことがなければ、話し方、カメラ設定、コメントへの答え方を理解できず、配信者にはなれません。まずは最初の一歩として、ライブストリーミングに参加し、配信者の体の動き、説明方法、コメントへの対応を観察してみましょう。
シンガポールに進出したい場合は、シンガポール向けの配信に入って簡単な英語でコメントを入れてみます。例えば、カバンを丁寧に説明している配信者には「Nice bag!(いいカバンですね)」、ベジタブルチップスをPRしている配信者には「Is it healthy?(健康にいいですか?)」といった具合です。
5回、10回見てから自分の商品を配信する
日本製品を海外で売りたい場合は、対象国の好みを確認してブランドの位置づけをしたほうがよいでしょう。例えば、蕎麦を発信したい場合、海外での蕎麦にまつわるトレンドを理解する必要があります。健康志向が進んでいる国はどこか、最近流行しているアニメに蕎麦の描写があったか、などです。それを配信で話題にしてみるといいかもしれません。
日本の伝統ブランドや高品質な製品は、世界中で高く評価されています。しかし海外市場で成功するためには、その国の消費者行動や販売手法に合わせた「現地化」が欠かせません。ライブストリーミング販売は、東南アジアをはじめとする多くの市場で、もはや標準的な販売チャネルとなっています。
最初は戸惑うかもしれませんが、一歩ずつ学んでいけば必ず道は開けます。日本の素晴らしい製品を、世界中の消費者に届けるために、新しい販売手法にチャレンジしてみませんか。
弊社ビンテージマネジメント株式会社は、「日本ファンを世界中に増やす」という理念のもと、日本ブランドの海外展開を支援しています。
ライブストリーミング販売を含む海外マーケティング戦略について、まずはお気軽にご相談ください。皆様からのご連絡をお待ちしております。
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